EV化
正月早々ですが、治療とは違う話題です。
このところ車や半導体が新聞やテレビ等で話題になっていますが、現代社会において、これらはなくてはならないものになっているので書いてみようと思います。
トヨタの社長が昨年の12月に会見を行いました。もの凄くシンプルな話しでした。日本の全ての車をEVにした場合、夏の電力ピーク時には、現在より10~15%の電力を増強しないと成り立たなくなります。
これは原発で10基分、火力で20基分の電力増強が必要ということです。また充電ステーションとして、14~37兆円の投資が必要になるそうです。自宅で電力のアンペア増強に10~20万、集合住宅なら50~150万、急速充電器設置に600万のコストがかかります。
またEV車の生産時にバッテリィーの充放電をするので、全ての車をEVで製造した場合、一日で一般家庭の5000件分の電力が必要になってくるそうです。つまり、EV車を作るだけで大きな電力が必要になってくるということです。それだけでなくモーターにはレアメタルも使いますから、有害物質が出ます。それらの処理にも当然電力を使いますし、環境破壊にもつながります。
このEV化が今の技術では如何に難しいかは素人が考えてもわかります。
自然エネルギーが豊富にある国とそうでない国ではあきらかに費用対効果が違うという現実もあります。地熱発電や水力、風車等が設置できやすい環境かどうかによっても電力という課題をクリアできる国とそうでない国がでてくるはずです。
つまり、日本では、自然エネルギーに頼るのはまだまだ非現実的な計画ということであり、現在以上に電力の消費が大きな負担が起こるということです。しかもEV車に通信網をつなげ、自動運転になった場合、それを管理するサーバ側の電力も必要になってくるので更なる電力不足になるのは目に見えています。電力を自然エネルギーから作り出せなければ決してCO2削減にはならないという現実があるということです。
また、原発はCO2を排出はしませんが、原発を増やそうとすれば当然ですが日本では反対の意見が起こります。国民感情によっても各国で大きな違いが出るのは間違いありません。核融合発電という手もあるみたいですが、技術的にまだ先の話です。社会的にも解決しなければならない問題が山積しています。
EVは確かに音も静かで魅力もありますが、それ以上に電力の供給という課題をクリアしなければ、理想であるCO2排出ゼロというのはあり得ないということです。このような問題を如何に解決していくのか?
まだまだ問題点は多いからこそEV化には慎重な姿勢を示してきたという経緯がトヨタにはあります。とてもまともで正常な話しだと思います。理想ではなく現実を見据えた話しになっているということです。
EV化をあまり焦りすぎると全てが中途半端になって大きな混乱が生じてしまうのは間違いありません。
そのツケを払うのは国民です。
また、CO2を排出するのは、何も車ばかりではありません。畜産なども大きな問題になっています。飼料となる穀物を育てる為に、発展途上国が森林を伐採し、低賃金で働かせ、それを餌にして先進国が畜産動物を消費するというこの構造自体にも焦点があてられています。また家畜である牛が排出するゲップの量も温室効果ガスの一部として考えられますので、畜産そのものがCO2排出の大きな問題になっているとも言われているのです。肉を多く消費する国は、絶対に反対するでしょうね。
これもCO2排出ゼロを目指した時に国民に大きな負担となるのは間違いないでしょう。テスラに乗って肉を毎日食べれば、環境破壊は更に進むという結果になります。
だからこそヨーロッパ諸国では、ベジタリアンが増え、代替肉も進化してきたという訳です。CO2排出ゼロを目指すなら、日本もこの問題に取り組まなければならなくなります。もちろん、日本だけでなく世界中がこの問題から避けて通ることは出来なくなります。車だけでなく食も大きく変化するのは間違いありません。
発展途上国から先進国への流れを先進国から発展途上国に変換する時が来た訳です。
CO2排出ゼロという目標は、間違いなく簡単なことではありませんし、現代人の生活スタイル自体も大きな変革を求められる問題です。政府としても、そんなことは普通にわかっているはずです。それでもCO2排出ゼロを目指すと言っているのですから何か意図があるとしか思えません。
イメージと現実が世界的に大きく離れ、理想的な情報だけが一人歩きしている訳です。ここまで大きな問題は、この100年間ではなかったと思います。人間にとって大きな選択を迫られている訳です。EV化を産業革命だと言っている人もいますが、今までの産業革命とは規模が違うような気がします。
食物も人間のエネルギー源になっている訳ですが、それが一番CO2排出という問題と関わっているということを、もっと多くの人が知るべきだと思います。地球環境というのなら、やはり人間の食べる食物にも焦点を当てなければ無意味だと言うことです。世界は、その覚悟があってCO2排出ゼロと言っているのか知りたいです。EV車ばかりに焦点を当てるのは、ある意味目くらましみたいに思えます。
そんな意味でもテスラに乗って優越感を味わっているなんて、ホントにナンセンスです。またアメリカではEV車を購入した人が、使い勝手が悪いということでガソリン車に乗り換える人も多いと聞きます。
そりゃ~そうだと思います。ガソリン入れるのに3分、充電するのに何時間もかかっていたら、いつも時間と電気残量を計算に入れて車に乗らなければならなくなる訳です。
今のところお金と時間のある人しか乗れないというのがEV車の現実だろうと思います。それでも雰囲気はEV化なのですから、国民は騙されっぱなしですね。
社会は、雰囲気で物事が決まります。正確性というのは邪魔な訳です。しかし、一方では、エビデンス、エビデンスと訴えています。温暖化も様々な要因によって起こっているのは間違いありません。しかし、自然現象以外の人為的なものが要因となっているというエビデンスが2年程前に出たことから、EV化が叫ばれるようになった訳です。特にヨーロッパでは叫ばれるようになった訳です。
しかし、そのエビデンスって本当なん?
って私はすぐに思ってしまいます。そのエビデンスから温室効果ガス排出ゼロを目指すというのは、エビデンス馬鹿ってこういうことなんじゃないかと思うのですが・・・。
エビデンス馬鹿を利用して何か意図があるとしか思いようがありません。
CO2を排出しない車で使い勝手がよく、既存の技術を活かせるような車が出てこない限りCO2排出ゼロはホントに難しいと思います。それは是非日本の企業にやって欲しいと思っています。しかし、それができれば凄いことですね。そこを目指す為の第一歩と考えるとEV化というスローガンは無駄ではないとも思います。
雰囲気は理想になり使命になって、また雰囲気を作り出しています。その雰囲気によって一番惑わされるのは国民です。
アメリカでは、日本の旧車がとても人気です。これは何かの皮肉ですかね。
車やCO2排出に一番貢献してきたのは、まぎれもなく日本ですよ。2000年にはハイブリッド車を出しているのですからね。火力発電も石炭火力もかなり高性能にしてCO2排出を低減してきました。今まで培ってきた技術で日本の企業は是非頑張って欲しいと思うし、政府はそれを後押しして欲しいと願っています。
そんなことを考えながら元旦を過ごしました。
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