脳の記憶
真っ直ぐするという脳の記憶
静止時のスタートの位置が狂っているので、動く時には、初動から軸がブレて足首や足底に負荷がかかってしまいます。左X脚の人の場合、歩行時には、左足を外側に振り回して歩くことが顕著になります。そうしないと歩けないのですが、それが真っ直ぐだと記憶しているのです。軸がブレていることをわかるためには、初動の観察が必要です。
動き始めに注目すると、あきらかに真っ直ぐ前に足を出すことができません。初動は、無意識で、意識を通さず脳から直接信号が伝えられます。
真っ直ぐを真っ直ぐだと脳は認識できていないから起こる現象です。ただし、真っ直ぐが良いと言っている訳ではありません。真っ直ぐを真っ直ぐと脳が認識しているかどうかの問題です。この違いは大きく、真っ直ぐの記憶が物理的な真っ直ぐと一致していないことで起こる動作の異常ということです。動的な話になると一気に難しくなるように感じられるかもわかりませんが、静から動に移動する瞬間が初動における無意識の使い方なのです。それに意識が気づくことが大切です。人間が意識できる行動は本当に限られています。
この異常は関節のみを詳しく検査しても姿勢分析をやっても絶対に気づけないところです。初動と関節の遊びを脳からの信号として全体的に観察してこそわかる異常です。それを解消する、つまり治療するには無意識の行動の認知が必要です。これは大脳基底核の作用とも一致してきます。
関節の異常は脳の記憶異常
関節の異常を関節の問題と捉える人が殆どですが、その関節の位置を作ったのは脳からの無意識の信号です。元々はちょっとした怪我をかばう姿勢をとったことが原因のこともあります。僅かな脳のエラーから起こるので、見過ごさないように観察する必要があります。
そして、この無意識の記憶を変えない限り症状は改善されません。つまり、これらの問題は、関節自体の問題ではなく、関節の位置を記憶した脳のエラーにあるということです。あくまでも無意識の記憶に焦点をあてているのであって、関節や姿勢の形に焦点を当てている訳ではありません。関節位置や姿勢は、単なる結果なので、それに注目しているのではありません。実は、これらの事実が「気」の問題とつながっていくのです。
形は記憶の結果
足の位置が外側にあると、膝が曲がった状態になり重心が僅かに下がり、膝には外旋や外転が起こり、上半身は前傾姿勢になることで四つ足姿勢に近づきます。人間は、最初から二足歩行として進化したとされていますが、不完全な二足歩行の時代があったのだと思います。その記憶が、脳のどこかに残っていて、このような形になるのかもわかりません。確かに地面に身体を近づけた方がバランス的には安定します。また、木に登っていた時代を思い出すのか、足腰が弱ると上半身が優位に働く傾向があります。
二足歩行と半二足歩行(猿等)では全く違う使い方をするのです。二足歩行の結果、脳が発達したと言えるのですから半二足歩行は、脳の弱体化と言えなくもないのです。
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