パーキンソン病4
この方は突出歩行が顕著でしたが、更に問題がありました。
それは声が出にくいということですが、この原因はやはり肺の問題があるだろうと誰でも想像はつくでしょう。
しかし、それだけでは駄目です。
何度も書いていますが、単なる肩凝りや腰痛であっても、必ず複合的要素があります。一つの症状は何の変哲もない症状ですが、その症状と他の変哲もない症状や片寄った動きが加わると特長的な症状になったりします。
パーキンソン病は大脳の下にある中脳の黒質ドパミン神経細胞が減少して起こると言われています。ドパミン神経が減ると体が動きにくくなり、ふるえが起こりやすくなりますが、なぜ減少するのか理由はわかっていません。
つまり本当の原因はわかっていないのです。
それでも動きのリズムが崩れたり、筋緊張が強くなったりするという症状は事実なので、それが何の原因かを探っていく必要があると思います。
3回目の来院時には、突出歩行は、ある程度わからなくなり、杖をつかずに歩いていました。足踏みもスムーズです。でも治っている訳ではありません。まだまだ、動きが普通とは違います。ただ歩行がある程度スムーズになったというだけのことなので、これからも何が複合的要因があるのかを探り続けていきます。
それよりも少し声が通って聞き取りやすくなってきたのは驚きでした。それでも元に戻ったではありません。マスクをしていると聞き取りにくい時もあります。
予測としては延髄あたりに問題があり、ここに核がある舌咽神経や舌下神経にも問題があり声が出ないという症状があるのではと考えています。もちろん、これも仮説です。この反応は右にはなく左のみでした。たぶん、ここの熱反応がなくなれば、もう少し声が出やすくなるのではないかと想像しています。
肺経の尺沢、少商、肝経の期門、中都、腎経の大衝の刺激でも効果的で、右肺ではなく、左肺の下葉、左腎の影響が強いように思います。
これらの調整も行い、3回目の調整を終えました。
少しでも良い状態になってくれることを願ってます。
治るのではなく、良くなる方に導く何かを探すということが重要です。
不可逆的な症状もあり、どうすることもできないものもあるはずです。本当に治ったというのは、発症前の状態に戻ったことを言います。しかし、ただ原因とされるドーパミンの減少に対して投与していたら元に戻せる訳ではないということはあきらかです。当然この方もドーパミンは投与されています。だからそれが原因とは言い難いということです。
少しでも症状の緩和ができれば、日常生活が送りやすくなると思いますので、今後も来院してくれる限りやれることをやってみます。まだまだ道のりは長いですね。
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