物理的現象から経絡へ
物理的な現象から経絡・ツボへ
そこで、まずは身体に現れている物理的で分かりやすい現象を捉える訓練から始めるべきです。ただし、経絡やツボに繋がるような視点を持つことを決して忘れてはなりません。そして感覚は曖昧なものであるという視点を決して忘れてはなりません。それを他方向からすり合わせて総合的に判断していくことが必要です。その一つの基準として関節の位置や状態を観察してみます。なぜ、関節なのかと言えば、物質的(静的)なものからエネルギー的(動的)なものに変化する瞬間のものだからです。関節の運動は時間を含んでいます。静から動に行く瞬間を捉えることが「気」の解明には必要不可欠です。
また、通常の関節の評価とは違いますので注意が必要です。
CM関節
手の親指のCM関節に症状がなければ、この関節の動きに注目する医療従事者はほとんどいないでしょう。
しかし、CM関節をよく観察すれば、全身と密接に繋がっていることは容易に推測できます。
脉診でも使う橈骨動脈拍動部の脈診部位にも近いこの関節は、手の動きの詳細を観察していると、非常に重要な役割を担っていることが分かります。つまり、CM関節の動きの評価は、全身の評価に繋がっているのです。
実際にCM関節症の患者さんの母指球を見ると、CM関節周辺が腫れていたり、手のひら側に落ち込んでいたりします。手のひら側に落ち込むということは、CM関節が屈曲内転位になっているということです。つまり伸展外転位がとりにくいという状態です。
無理やり伸展外転位をとろうと思うと母指のIP関節を過伸展させてMP関節を過屈曲させる位置になってしまいます。つまり意識的にCM関節を動かすことできないので代償運動をしてしまうということです。
CM関節に症状がなくても、この固定位置になっている方は、手の指先、手首、肩、肘、指先の異常を訴えている人が多いのも、この関節に注目する一つの要因です。つまり、手首、肩、肘の動きにも影響を与えているということがわかります。
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