自覚すること
患者さんに動きの説明をすると、どうしても理解できない人がいます。
「動かさなくて良いから」
と言っても動かしてしまいます。
なぜ???
例えば、椅子に座った状態で片足を浮かしてくださいと言うと、身体を後にのけぞらせてあげてしまいます。
身体をのけぞらせたり傾かせるのは、身体の運動であって足の運動ではありませんからそれを止めてみて下さい。
と言っても、やめられません。
身体を動かして足をあげたつもりになっているだけでは足の筋肉は使えていません。
まずは動かないことを自覚することが大事です。
身体を使わないと動かないんだと自覚することです。
この運動は、正常でも1㎝程度しか床から浮かすことはできません。正常でもそれぐらいしかあがらないのです。
足に異常を抱えている人がスイスイあがるはずがありません。自分の身体に対する感覚そのものが異常を起こしているのだと気づいていません。
きっと動かないことを認めたくない訳です。自分が動かないことを認めたくないのだということすらわからなくなってしまいっています。これは心理的にも本当に面白い現象です。
運動と言いますが、運動は心理作用と密接に関係していることをこの現象は教えてくれます。
動かないものは動かないで良いはずなのに、動いていると錯覚させてまで動いてしまいます。
日常生活では当然、無理やり動かなければならないことは多々ありますが、今は練習なので、無理やり動かす必要はないと説明しても動かしてしまいます。
本当に面白い現象です。
一つの運動の中にも無数のその人の思いが込められているのだろうと思います。
そういう状況なんだとわかりますので、できないことを理解させる工夫をしていきます。
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