迷いは感覚を鈍らせる
2個の項目から選ぶ場合は簡単ですが、10個の項目から選ぶのは難易度が高くなります。
身体全体となると複数の要因があるので無数の中から選ばなくてはなりません。できる限り素早く選択することが何よりも重要です。
早く診断できるということは、明確な組立方が決まっていなくてはなりません。つまり何をどんなふうに診ているのかという明確な意識が必要です。それができないと的確な触診はありえません。それさえできれば、軽く触診するだけで様々なことがわかってきます。
酷い症状を訴えている訳ではありません。以前痛かった足も良いようです。強いて言うなら背中と下腿後側の違和感ということです。
症状がハッキリしている方が異常を見つけやすいのですが、症状があまりハッキリしていないというのは、何を狙って診断していけば良いのか迷います。つまり選ぶ範囲が広くなります。
気水血では水であり、水滞の反応が左背中全体にあります。温煦作用や固摂作用も弱っています。それによって胃や肺にも影響があり裏熱があります。漢方薬の適応をみてみると大防風湯が適応でした。
大防風湯は、関節が腫れて痛み、麻痺や硬直などがあるものに適応と言われています。類似方剤は十全大補湯で、十全大補湯から茯苓と桂枝を取り除いたものと考えられます。
よく似ている漢方薬ということですが、この大防風湯と十全大補湯を混ぜる(合法)にすると効果が高くなるという反応でした。同じような処方であっても混ぜることで作用をより強めることができるのかもわかりません。
症状は酷くはないですが、温煦作用が弱っている場所も左胸から上腹部にかけて反応があります。固摂作用も左胸から咽にかけて反応があるので、内臓を定位置に留めておく力も弱っている可能性があります。
何も症状はなくても興味深い例となりました。
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